土地の境界設置について
土地の境界トラブル防止
家を建て替えたり、あるいは新しく塀や垣根をつくろうとしたときに、土地の境界がはっきりせず、隣近所の方と争いになることがあります。
このようなトラブルは、土地の境界を明確に示す境界標が設置してあれば防ぐことができます。
皆さんが所有している土地の周りに、その土地の境界を示す目印はありますか。
土地の境界を特定するための手段としては、塀や垣根の設置があります。
しかし、相続で代替りしたり、大規模な宅地造成が行われたりしたために、その目印がなくなり、境界が失われてしまう場合があります。
土地の境界を明確にするためには、境界標の設置(埋設)が最もよい方法です。境界標がなかったために、土地を巡るトラブルが起こりやすくなっています。
例えばこのような事例があります。
ところが最近になって、お隣のほうでこちらに何の相談もなく境に垣根をつくりました。
どう見ても斜めに曲がっていてわたしの敷地を越境しているように思えるので、そのことを申し入れましたが、お隣は一向に聞き入れてくれません。
そこで、航空写真を取り寄せ、昔は直線であったことを主張していますが、埒(らち)が明かず気まずい思いをしています。
板塀を取り壊す前に境界石を入れておけばこんなことにはならなかったのにと悔やんでいます。
不動産登記法施行細則では、土地の分筆の登記の申請などの際に提出する地積測量図の図面上に境界の位置関係を表示すべきことになっています。この位置関係を明確に表示するのが境界標というわけです。
境界標には永続性があるものを
測量の際には通常木杭が打ち込まれますが、これはあくまで仮のもので、何年か経つと腐ってしまったり、動いてしまったりします。最も有効な手段は、境界石やコンクリート標といった永続性のある境界標を埋設することです。
都市部のように住宅が密集し、境界標を地中に打ち込むのが困難な場合は、ブロック塀やコンクリートなどに直接打ち込める金属鋲を使って表示することもできます。
境界標を設置しようとする場合は、最終的には登記と結びついてきますので、登記に関する調査・測量の専門家である土地家屋調査士に相談・依頼するのがよいでしょう。
大切なのは境界標の維持・管理。
境界標を設置したからといって、それで安心してはいけません。ときどき自分の目で確認するなど、管理にも心配りをしてください。土地の権利は財産権のなかでも特に重要な権利です。常日ごろから境界標を自ら管理し、隣近所とのトラブルが起きないように心がけましょう。